キイチゴ

意外なことだが、海の近くの木立によく生える木イチゴがある。
カジイチゴという種類で、木の高さは1~3メートルくらい。6月上~中旬頃に黄色い実がなる。木イチゴでポピュラーなモミジイチゴと実は似ているが、茎にトゲがないのと葉の形が違うらしい(当地には、カジイチゴはあちこちにあるものの、モミジイチゴは実際に見たことがないので)。
そのまま食べると、甘酸っぱさが口に広がり、素朴な味。砂糖と煮てジャムにもできますが、とろみがつかないので、ヨーグルトのソースなどに使うとgood。

カジイチゴ

カジイチゴの花
カジイチゴ。モミジのように切れ込んだ葉で、実は黄色。実は柔らかくてつぶれやすいので、そうっともちかえろう。下の写真はカジイチゴの花。4~5月頃咲く

もう一種類、これは海の近くというわけでないが、近くで見つけた赤いキイチゴ。
茎には全体に赤いトゲがもしゃもしゃとはえていて、つぼみも赤い毛だらけ。どうやら「エビガライチゴ」というらしい。「エビの殻」というよりは「毛ガニ」みたいな雰囲気・・・。
まだ梅雨空の6月下旬、木立の中で、まるでルビーか何かのように、赤くぴかぴかと熟して輝いている。甘酸っぱくて、素朴な味があとをひく。

エビガライチゴ

エビガライチゴ
エビガライチゴ。赤くてプチプチとした実。葉の裏側が白くて、茎やつぼみにびっしり赤いトゲ(いうか毛みたい)がはえている。カジイチゴの時期が終わったころ、こちらが熟してくる

桑の実

いわゆる桑の正式名称は、ヤマグワ。昔ならカイコのエサにしたのだろうけど、いまやそんな用途はほとんどなくなり、田んぼの横に、山に、空き地に、あちこちに生えっぱなしになっている。
5月の末ごろになると、実が緑色から赤、濃い赤紫へと熟してくる。熟してくると、実はプチプチとしてジューシーで甘くおいしくなる。木からとって食べてみよう。ただし食べた後は、口の中も指の先も紫色! 洋服に付くと、なかなか落ちない!
ちなみ、桑にはオスの木とメスの木があって(同じ株にオスメスあるものもあり)、実がなるのは、メスの木だけ。木がずいぶん大きくなったのに、実がなる気配すらないのは、おそらくオスの木。

桑の実

桑の実
砂糖を入れてさっと煮て、ヨーグルトのソースにするのも美味。小さな茎をとるのが少々めんどうくさい

ツルナ

砂浜近くの草地などに生える高さ50センチくらいの草。種がこぼれるのか、海にのって運ばれて芽を出すのか、海の近くの至る所で見られる。
やわらかくて厚ぼったい葉を摘んで食べる。くせがないので、スープに入れたり、炒めたりするのがおいしい。↓↓「サカタのタネ」でも袋入りの種を売っているので、栽培している人もいるのかも・・・。
春から秋まで、黄色くて小さな花が茎と葉の付け根に次々と咲く。刈り取られても、波に洗われても、またそのうち元気に伸びてくる強い元気な草だ。

ツルナ
ベーコンとにんにくとトマトとつるなをオリーブオイルで炒めて、粉チーズをふって食べるのが、我が家の定番

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オカヒジキ

最近では、栽培したものが店で売られていたり、↓↓種が売られたりしているが、もともとは海岸近くに自生する野草。姿形が海藻のヒジキににているのでおかひじきの名になったとか。まだ若いものをつみ取り、さっとゆでて食べる。おひたしにしたり、マヨネーズをかけてたべてもおいしい。
これも海水にのって種がどこからかやってくるのか、砂浜で芽を出していることが多い。春になるといつの間にか、力強く芽を出し、夏が終わるといつの間にか枯れてしまう。

オカヒジキ
カロチンが多く、ビタミンC、カルシウム、カリウムも豊富で、体にとてもいいらしい

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ノビル

東京湾に限らず、山に出かけなくとも、田んぼのあぜ道とか、道ばたとかそこらの空き地とか、身近なところでいくらでも見られるおなじみの野草。根の丸い部分を、生で(またはさっとゆでて)味噌をつけて食べるのがポピュラー。ピリッとした辛みが、好きな人にはたまらない味らしい。
春先なら、葉の部分を万能ネギのように刻んで、納豆や汁物の青みにも使える。ゴールデンウィークを越すと、根の部分も硬く育ってしまう。やっぱり春を味わう野草のひとつ。

ノビル
ずいぶん大きく成長したのびる。これ以上成長すると、葉も根も硬くて食べられない。初夏になると、ニラの花にも似た白い花をつける

タラの芽

春の「キング・オブ・山菜」といえば、やっぱりタラの芽。信州か東北の山にでも行かないとお目にかかれないような気がするが、実は日本全国、ちょっとした小山や雑木林などに生えている木なのだ。
内房でも、3月の終わり頃に山を歩くと、あるある、あの枝も葉もないような、トゲだらけの棒みたいな木が・・・。木を枯らしてしまわないよう、伸びるための芽を残してつみ取ろう。
食べ方はやっぱり天ぷらが一番。塩をちょっぴりつけて口に運べば、えぐみはなく、ホクホクとしたコクのある味わいがふんわりと広がる。夏場成長してしまったものでも、葉先だけ摘んで、天ぷらやおひたしにして食べられる。

タラの芽
とりたてのタラの芽。葉が出てきてしまったものよりは、まだ芽が出たてで、柔らかい葉と茎が出てきたばかりのものがホクホクしておいしい

ツクシ

誰でも知ってて、比較的どこにでもあるポピュラーな野草。これが地面のなかから出てくると、「春だなぁ」という気分がしてくる。漢字で「土筆」と角が、まったくそのとおり、頭は筆先のよう。食べるには、頭の部分がまだ堅くて、ハカマの間隔が短いものがいいみたい。頭から緑色の胞子が飛ぶようになったものは、アクも強く、筋っぽくなってくる。
我が家でも近所の空き地にいっせいにツクシが顔を出すと、うれしくなって子供とツクシ採りに訪れる。調子にのっていっぱい採りすぎ、あとで下準備が大変。
ツクシは、料理するにはまず頭の部分とハカマ(節々にあるヒラヒラした部分)を 取る。それからさっとゆでて(酢を入れると色がきれい)、水にさらす。
それからしょうゆとかつおぶしでおひたしにしたり、ごま油でいためてきんぴら風にしたりするのが定番。だしとしょうゆで煮て、卵でとじたり、天ぷらにするのもgood。

ツクシ
食べるときは、写真のように、頭とハカマを取ります

ツクシの卵とじ
写真は卵とじ。春の味です

タケノコ(孟宗竹)

世界中に竹の種類は非常に多く、1,200種くらいあるらしい。日本だけでも、600種類とか。そのなかで代表的なのが、次に紹介する真竹(まだけ)と孟宗竹(もうそうちく)。
ふつう、八百屋などでタケノコとして売られているのは、孟宗竹のタケノコ。はしりのものは、3月くらいから売られているが、房総での旬は、4月中旬から下旬。竹藪で頭を少しだけ出しているものをほりあげた法が、柔らかく、アクも少ない。
ぬかを入れた湯で下ゆでしたあとタケノコご飯、若竹煮、きんぴらなどにする。また、先端の部分を生のままみそ汁の具にしたり、写真のように皮ごと蒸し焼きにしたり。
ほんの一時期の旬で、ゴールデンウィークを過ぎると、あっという間に竹に育ってしまう。1日で1メートルのびることもあるらしい。孟宗竹は、日本では最も大きくなる種類で、最大直径約20cm、高さ20m位になるとか。

孟宗竹タケノコ

タケノコ茹で
大鍋でタケノコゆで。一般には皮ごとゆでるように説明されている場合が多いですが、皮むいてからでもOK !  皮ごとより早くゆであがるし、そのほうが鍋にいっぱい入ります。

タケノコ蒸し焼き
炭火で皮ごと丸焼きにしたタケノコ。蒸し焼き状態になり、アクがぬけておいしい。バターとしょうゆをたらしていただくと、ほくほく、しかもジューシーで格別の味。

タケノコ(真竹)

日本の栽培竹林のなかで、一番多いのは真竹。笛や尺八、籠などに加工したり、垣根にしたりされている。房総には、孟宗竹のほうが多いようだが、真竹もけっこうあちこちで見られる。
意外とタケノコも食べられることを知らない人も多いが、孟宗竹と同じように、食べられる。孟宗竹のタケノコよりも色が茶色く、皮はツルツルしている。また、全体的に細くて長め。
タケノコの時期は、孟宗竹のタケノコが終わってから、5月下旬から6月上旬くらいが旬のようだ。

タケノコ(真竹)
孟宗竹に較べて、長くて細いシルエット。皮も孟宗竹はうぶ毛が生えていてケバケバしているが、真竹はツルツルしたかんじ。

セリ

「せり なずな おぎょう はこべら ほとけのざ すずな すずしろ これぞ七草」と春の七草の最初に出てくるセリ。春から秋まで、田圃のあぜ道や湿地などで見られる。山からわき水がしみ出て、じめじめしたところなどに群生することが多いのだ。
食べ頃はやっぱり春。まだ柔らかい葉と茎を摘んで食べる。 夏になると、ずいぶんと大きく成長し、白い花をつける。秋にまた新しい芽が出て柔らかい葉が育つこともあるようだ。
ゆでてから水にさらしたものをおひたし、あえもので。そのままみそ汁やお吸い物の具に。少し苦みがあるが、やっぱりそれは野山の味。
注意したいのは、セリと間違えてドクゼリを食べてしまうこと。ドクゼリは芹よりも一般に大型で、山間部に多いそう。また、一番わかりやすい見分け方は、引っこ抜いてみること。ドクゼリには、タケのように節ばった緑色の太い地下茎がある。

セリ
大きく成長したセリをひっこぬいたもの。食べるには、もう少し若いもののほうが、柔らかくておいしい。

セリの根
セリの根っこ(ドクゼリではありません!)。短い間隔で節ばった太い地下茎のあるのがドクゼリだ

セリ
わき水のあるようなところなら、真冬でも青々としています。かえってこの時期のものは、柔らかくておいしい

アケビ

秋の野山で、口をパカッとあけた姿がいかにもおいしそうなアケビ。本来「アケビ」というのは、小判型の葉が5枚で1組になってついているものだが、房総では、3枚の葉がついている「ミツバアケビ」が多いよう。皮が紫色に近く、大きく口を開けているのは、ミツバアケビ。アケビの実は茶色くて小さい。また、「ムベ(トキワアケビ)」という種類のものもあり、この実は紫色だが口を開けないのが特徴。
どれも中の種を包んでいる白くねっとりとした果肉の部分を食べる。いちいち種をプップッと吐きながら食べるのは、少々面倒ではあるが、自然の甘さがうれしく、見つけると喜んで食べてしまう。
残った皮の部分も食べられるらしいが、かなりの苦さとアク。そういう苦みがお好きな方はどうぞ。ゆでた後に、酢水にひと晩つけておくと、苦みが弱くなるそうである。
きんぴら風にして炒めたり、肉詰めにして焼いたり揚げたりするのがおいしいらしい。

アケビの実
10月半ば、実が紫色に色づき、パカリと口をあけたアケビの実。

アケビの花
ミツバアケビの花

アケビの若い実
若い実。実が紫色になるまでは意外と目立たない

ヤマモモ

比較的暖かい地方にはえるヤマモモ科の常緑樹。街路樹などになっていることも多いし、庭木としてもよく植えられる。イチョウなどと同じく雄雌が別の木で、実のなるのはもちろん雌の木。
6月下旬から7月中旬くらいに、赤くてまんまるい実が熟す。濃い赤色に熟したものでないと、エグさとベタッとした舌触りが残るが、よく熟れたものは、甘酸っぱくておいしい。
ホワイトリカーや焼酎、泡盛などで果実酒にすると、赤くて美しいお酒ができる。氷砂糖やはちみつと混ぜておいておけば、シロップに。これは、炭酸水や水で割って飲むとおいしい。ジャムにもできる。
また、沖縄では、塩で漬けて(少しだけ砂糖かはちみつを足して)、漬け物として食べるそうである。

ヤマモモ
熟れたヤマモモの実。直径2センチほどで、表面が細かくでこぼこしている。まんなかに大きな種があるので、少々食べにくい

ヤマモモ酒
まるでルビーのような色のヤマモモシロップ(左)とヤマモモ酒(右)

イナゴ

イナゴはバッタのなかまで、正式名は、「コバネイナゴ」。ほかにもナキイナゴとかツチイナゴとかの種類がある。
年輩の方なら、昔、田んぼで捕まえて食べた、という方もいるかもしれない。現在でも農薬の少ない田んぼなら、稲穂が出る頃から稲が刈られる頃まで捕まえることができる。
イナゴを食べるには、まず捕まえたら半日から1日置いて、体内のフンを出させること。その後、煮立った湯に投入してさっと湯がく。水気を切って足と羽根を除く。
保存が目的なら、その後1日天日干しする。すぐ食べてしまうならそのまま、しょうゆとみりん(または砂糖)で煮る。煮汁が少なくなって、イナゴに照りが出てきたら完成(保存食&手作り食品の「イナゴの佃煮」の項もご覧ください)

イナゴ

マテバシイ

マテバシイは、どんぐりのような実がなるぶな科の木。同じぶな科でも、コナラ、ミズナラ、クヌギなどの「落葉高木」(秋になると葉が茶色くなって落ちる種類の木)とはちがって、冬でも緑色の葉をつけている。葉の色形も、厚みがあり濃い緑色で、いかにも常緑樹というかんじ。マテバシイは比較的暖かい地方に生える木らしい。
実は8月下旬から10月頃にできるが、それは前の年の初夏に咲いた花の実。つまり、花が咲いた次の年の秋に実がなるそうである。備長炭の材料として有名なウバメガシと姿形も実の形もよく似ている。
実は外側のカラを割って中身を取り出し、それをミキサーなどで粉砕して使う。クッキーやパンに混ぜたりすると、ちょっと香ばしい野生の味が楽しめる。
トチノキなどに見られる苦いアクは、全然ない。

マテバシイ
実ったマテバシイの実。虫食いが多いので、カラにあいた穴には要注意!海沿いの木立、低山などいろいろなところで見られる

イヌビワ

クワ科イチジク属の落葉低木。木の高さは1~5メートルくらいで、海辺に多く見られるらしい。(が、群馬県でも「よく見た」という文献も読んだことがあるので、一階に海辺だけというわけではないらしい)
春に花が咲くそうだが、芽の中に隠れていてほとんど見えないらしい。「イヌビワコバチ」というハチが専門に受粉を助けてくれるそうだ。ハチのほうは、雄の木の花のなかに卵を産みつけ、成虫になるまで花のなかで過ごすそうである。
雄雌異株で、実がなるのは雌の木。9月ごろになると右の写真のような濃い紫色の小さな実がなる。イチジクの仲間だけあって、中は小さな種がたくさん入っていて、かじるとジャリッとした食感。

イヌビワ
熟したイヌビワの実。このように濃い紫色になったものでないと、あまりおいしくない。直径1~2センチ。

イヌビワの木
イヌビワの木。内房の低山では、似たような肉厚の葉をした低木が多いので、実の時期にならないと、区別がつきにくい

ヤマグリ

秋の実ものでもっともポピュラーなもののひとつ、クリ。8月下旬から10月にかけて実が熟し、茶色くなったイガとともに、地面に落ちてくる。クリ拾いは、何歳になっても楽しい秋の風物詩・・・!?
クリは、ブナ科クリ属の落葉樹。クリと人とのつきあいはとても長いようで、縄文時代から日本人はクリを食料としていたそうである。ドングリやトチと違って、アクぬきせずに食べられるので、貴重な食料だったのだ。
雌雄同株で、初夏に花が咲く。何本も穂状にのびる花は雄花のほうで、その基のほうに、小さく雌花が咲く。もちろんイガができて実ができるのは、雌花のほう。花の時期には、生臭いような匂いが辺りに漂うので、栗の木の存在に気づくことも多い。
栽培種は、一般に大粒で、さまざまな品種がある。しかし、自然に野山にはえているヤマグリ(シバグリともいう)は直径2センチ程度と小粒。意外と中身はホクホクとしておいしいものが多い。殻がシワシワしているは古い実。つやがあって、実に重みのあるものがよい。
シンプルにゆで栗、焼き栗、ちょっと手を加えて栗ご飯。いずれも秋ならではのおいしい味。
ちなみに、世界中には、ヨーロッパ栗、アメリカ栗、中国栗、日本栗の系統があって、日本栗以外の栗はどれも小さめだが、渋皮がつるりとむけるそうである。実がポロッととれる天津甘栗も、中国栗の仲間なのだ。

ヤマグリ
ヤマグリの実。ふつう、栽培種よりも小粒。葉には薬効成分があって、葉の汁や葉の煎じ液は、ウルシや毛虫のかぶれやヤケドに効くそうである

ヤマグリとガマズミ
2004年秋の収穫。付近にはえていたガマズミの枝も一緒に。ガマズミについてはこちらをどうぞ。猛暑が影響したのか、豊作!あちこちの山でいっぱいとれました

栗拾い
子供は栗拾いなど、「収穫」が大好き。通行する車とヘビやウルシの木などには注意しましょう……

イヌマキ

マキ科の針葉樹の一種。関東地方南部以西の本州、四国、九州、南西諸島に分布し、低山の山林、里山など、暖地の常緑広葉樹林中に生育する。台湾や中国にも生育するらしい。
庭木や垣根、神社の植え込みなどにもよく植えられる木。本来は高さ20メートルにもなる高木らしいが、それほど大きなものはあまり見かけない。とくに人工的に植えられているのは、5メートル程度のものが多い。
雄株と雌株があり、実のなるのは、もちろん雌株。雪だるまのような形の実がなり、上の緑色の部分が種。下の赤いところが食べられる。資料によれば「甘い」と書いてあるが、ほんのり甘い程度・・・というか、食感、味ともに熟れていないさくらんぼ、というかんじ。
もしかしたら、ジャムにでもなるのかもしれないが、まだ試したことはない・・・。
秋の散歩中の手軽なオヤツ。鳥たちも集まって、実をついばんでいたので、そうして種が運ばれるのだろう。

ちなみに、イヌマキ、イヌビワ、イヌゴマ、イヌナズナなど「イヌ」のつく植物は多いが、この「イヌ」は、役にたたない、とか本家本元のものより劣る、とかいう意味だそうである。なんだかあんまり・・・、なネーミング!?
たしかに、イヌビワはビワほどおいしいとはいえないし、イヌゴマという草は、ゴマにそっくりなのに、実は食べられないですが。イヌマキのマキは、スギの古名だそうです。

イヌマキの木
実の時期は、10月頃。

イヌマキの実
上の種子の部分は、固いし、まずくて食べられない。雪だるまのような愛らしい形。種子の部分とあわせてても、2センチくらい。

サツマイモの蔓

いわずとしれたサツマイモ。熱帯アメリカを原産とするヒルガオ科の作物で、秋の家庭菜園の主役!?である。だから「山の幸」ではないけれど、イモ意外の部分の食べられる。
ツル・・・といっても、正確には、食べるのは葉の茎の部分。クセがなく柔らかくておいしいのだ! 畑に生えているサツマイモから、葉を茎ごとポキリと折り、葉の部分を取り除くだけ。場合によっては外側が筋っぽい場合があるので、そのときはフキのように、ゆでた後に筋をむけばよい。
フキのような独特な匂いはなく、適度な歯ごたえがある。刈り取ったツルは、さっと下ゆでして水にさらしてアクをぬく。そして、ちりめんじゃこと一緒にきんぴら風にしたり、しょうゆ・みりん・だしで煮物にしたり。きゃらぶきのように保存がきくように煮しめてもいいそうです。
残った丈夫そうで長~いツルの部分。ここはスジスジで食べられませんが、そのまま丸くぐるぐると編み込んで、リースにすると意外と素敵です。上手に乾燥させるとポキポキ折れることもなく、意外としなやかなツルになります。クリスマスにサツマイモのリース、なんてちょっとおもしろいでしょう!?

サツマイモの芋づる
昔はよく食べたけどねぇ、と調理法を教えていただいたおばあちゃんは言っていました

クコ

薬膳のおかゆやデザートなどに赤くて少し細長い実が入っていることがありますが、あれがクコの実。クコは古くから不老長寿の薬として日本でも強壮薬として知られていたそうです。漢字で書くと、「枸杞」。枸杞子はクコの実のことで、降圧作用や抗脂肪肝作用などがあるそうです。漢方でも、血を補い、目を明らかにする効能があり、視力の低下やめまい、腰や下肢の倦怠感、性機能障害に用いるとか。
根っこの皮は「地骨皮」、葉は「枸杞葉」・クコ茶」として動脈硬化・高血圧の予防・民間では安眠に使われています。
さて、クコってすごい!と思いますが、意外と身近な植物なのです。川の土手や海沿いの茂みなどに自生していて、全国的に見られるそうです。内房では、海沿いの草やぶなら、どこにでもある、といっても過言ではありません。
夏から秋にかけて紫色の可憐で小さな花が咲きます。クコはナス科とのことで、そういえばナスの花にも少し似ているかも・・・。晩秋から冬にかけて赤い1センチくらいの小さな実が付きます。ドライフルーツとして売られているクコは、ほんのり甘みがありますが、なぜか周辺でとれるクコの実は、どれもえぐくて苦い!干してもえぐさが残るので、クコ酒にするのが良いようです。
ホワイトリカーに実を入れ、お好みで砂糖を。2,3ヶ月もすると、赤みがかったこはく色のクコ酒のできあがり。
若葉は油炒めにしたり、おひたし、天ぷら、塩ゆでした葉を刻んでご飯にまぜ、「クコ飯」にしたり、といろいろ食べられるそうです。

クコの実
実の大きさは、わずか1センチ程度。11~12月頃、内房の海辺を訪れたら、探してみてください

クコ
ちょっと気を付けて見てみると、ほんとうにどこにでも生えている草。ただし実のなるものとならないものがあるのか、冬前に赤いグミにも似た実をつけるのは、全部ではないみたい。

フキとフキノトウ

早ければ2月中に芽を出し、まだ寒い中にも春の訪れを感じさせてくれるのが、フキノトウ。全国の里山どこにでも見られる草で、房総半島でも、田んぼのあぜ、草地などあちこちに見られます。意外といえば意外ですが、キク科の植物です。でも、フキノトウをよく見ると、キクっぽい姿形ですね。ただし、フキノトウは雄雌異株。花が出たあとにそのまま立ち枯れてしまうのが雄花、どんどんのびるのが雌花だそうです。
フキノトウは芽が出た直後の花が開く前のものを、根ぎわから採取すると、香りも強くて美味しい。食べ方はいろいろありますが、シンプルかつおいしいのは、生のまま天ぷらにし、塩で食べるもの。ほかにはフキノトウ味噌にしたり佃煮風にするのがポピュラー(詳しい作り方はこちら)。汁の実、酢の物などもおいしいそうです。
フキは、春から秋くらいまで収穫が可能ですが、やはり一番柔らかくておいしいのは、、一番最初に出てくるもの。茎を根元から切り取り、葉の部分もカットします。それを一度ゆでてアク抜きして、皮をむいて下ごしらえ完了。それを煮物、佃煮などにして食べます。さっぱり味ならフキと梅干しの薄味煮。こってり味なら牛肉などと煮るとボリュームもあります。薩摩揚げや油揚げと醤油味で炒め煮したものは、昔ながらのおふくろの味。

また、海辺に行くとツワブキも多く見られます。ふつうのフキより葉が厚ぼったくてつやつやしていて、秋から冬にかけて黄色い花の咲くものです。まだ試したことはありませんが、これも食用にできるそうです。ただし、すぐに固くなりやすいので、春先に出たばかりのものを食べるのが良いようです。下ごしらえや食べ方はフキと同様です。

フキノトウ
まだ周囲は枯れ野の時期に、土のなかから緑の芽を力強くのばすフキノトウ。冬の老廃物がたまった体を目覚めさせ、新陳代謝を盛んにする働きもあるそうです

フキ
フキノトウが終わると、あっという間に葉がのびて、4月の上旬にはすでに一面のフキ

ツワブキ
ツワブキ。こちらは秋に花が咲きます

ガマズミ

秋になると赤い実をいっぱいつけ、里山で目立つ木のひとつ。5月ごろに白い花がたくさん集まって咲くが、こちらは意外とわかりにくい。落葉樹なので冬には葉が落ち、実だけが木に残っていることもある。
実は9月ごろから赤くなりはじめるが、11月頃に真っ赤になってからのほうが甘くなって食べやすい。
近種として、実の黄色い品種を「キミノガマズミ」という。また、山地には葉がガマズミよりもやや細くて先が尖っているものもあり、これは「ミヤマガマズミ」。

ガマズミ
秋の野山には、ほかにも実りがいっぱい。そのなかでもガマズミは赤くてぴかぴかとした色で発見しやすいもののひとつ。果実酒にすると、きれいなルビー色のお酒ができます

この一連のページの記事は、旧・房総爆釣通信に掲載していた記事を再編集したものです。
内容によってはデータが古いものもそのまま掲載していることをご了承ください。
最新の記事は、ブログ「房総爆釣日記」をご覧ください。